Logicool G PRO Wirelessの徹底レビュー。大人気ゲーミングマウスの実力はいかに?

今回はLogicool (Logitech)のフラグシップワイヤレスゲーミングマウスである「Logicool G PRO Wireless」のレビューだ。超軽量でトップクラスの追従性能を持つワイヤレスマウスとして大人気だが、実際その実力はどうなのか。1か月ほどしっかり扱ったので参考にしてほしい。

長所と短所

〇わずか80gという従来の無線ゲーミングマウスでは考えらなかった軽量設計。
〇ワイヤレスなのでマウスをぶんぶん振っても突っかかりがない。ストレスフリー。
〇世界中で大人気のプロゲーマー御用達。これを使っておけば間違いない。
〇両利き対応。右利きも左利きも違和感なく使えるのは珍しい。
〇無線なのに有線接続よりも速い高速通信。ロジクールのLIGHTSPEED(独自技術)おそるべし。
〇日本人の小さな手に合いやすい形状で、外国人向けの大きいマウスが苦手な人にも扱いやすい。
〇バッテリーの持ちがそこそこいい。最大60時間、ふつうに使ったら4日くらい持つ。容量が少なくなっても有線接続で充電しながらプレイできる。
〇直線補正と加速が完全にゼロ。ロジクールの自社開発センサーによるもの。
〇トップクラスのセンサーを搭載し、どんなDPIで振り回しても安定動作する。
〇左右のメインボタンに高耐久で押しやすいオムロン製のスイッチを採用。
〇ロゴが虹色に光るイルミネーション機能を搭載。見た目もシンプルで飽きない。
〇2年間の手厚い保証がある。壊れてもすぐ新品を送ってくれる。
×価格が高い。一般的なマウスの2倍程度。
×経年劣化で電池残量が少なくなっていく。

製品仕様

・通信方式:無線
・センサー:光学センサー「HERO 16K」
・形状:左右対称
・バッテリー:最大60時間、容量は240mAh
・トラッキング速度:400IPS
・解像度:100~16000 DPI、50dpiごとに変更可能
・大きさ:横63mm、縦125mm、高さ40mm
・重量:公称80g、実測81g
・メインボタンスイッチ:オムロン製「D2FC-F-K(C)」、耐久性5000万回
・サイドボタンスイッチ:オムロン製、耐久性能不明
・ホイールエンコーダー:TTC製、24回刻み
・リフトオフディスタンス:布製マウスパッドで0.9~1.0mm、プラスチックで1.0mm。
・リフトオフディスタンス調整機能なし
・マイクロプロセッサ:Nordic Semiconductor製の「N52840」、32bit ARM
・ドライバレス機能あり
・マクロ機能あり
・レポートレート:125Hz、250Hz、500Hz、1000Hz
・LED:搭載
・ボタン数:6個
・加速:完全ゼロ~調整可能
・直線補正:完全ゼロ~調整可能
・ケーブルは布巻きでやわらかめ
・最大加速:40G
・保証期間:2年間
・センサー位置:中央
・表面加工:マット加工

ワイヤレスがすごい!

まずは無線の恩恵についてだが、これはどのワイヤレスマウスでも言っているが素晴らしいの一言だ。特に振り向き30センチ以上のローセンシプレイヤーにとって、マウスを突っかかりなく、ストレスなくぶんぶんと振り回せるというのは非常に大きい。ケーブルをどう固定するか、というのは有線マウスを使う場合は必ずと言っていいほど考えることであるので、その点は楽だ。ハイセンシ~ミドルセンシの人にとっても無線になることでケーブルの重さや妙な突っかかりを感じなくなるので明確なプラス点と言えるだろう。僕はVALORANTやCSGO、APEX、AVAなどはローセンシの方がよく当たるので振り向き30センチくらいにしている。しかし、180度以上常に振り向き続ける必要があるオーバーウォッチではハイセンシにしないとAIMが追い付かないのでそうしている。やはりローセンシの時が恩恵を感じやすいがハイセンシの時も安心感はある。

クリック感
メインとなる左右ボタンのクリック感は良好だ。オムロン製の定番スイッチを使っていることもあるが、実際に触れているプラスチックの外側部分の作りも申し分ない。クリック感としてはやや柔らかく、遊びがあるものの、連打もできるし、硬すぎないので押しやすい。

ホイール
ホイールは至って無難な作りだ。比較的柔らかくて、引っ掛かりもないのでくるくるとスムーズに回る。ただ、やや緩いので1年~2年と使っていくと誤爆を引き起こす可能性はある。といってもこれはどのマウスにも言えることなのであまり気にしなくていいと思う。ホイールが良いマウスというのは稀だ。

大きさ、持ちやすさ、形状
大きさはゲーミングマウスの中でやや小さい方に分類される。Razer Deathadderを筆頭とする、大きいサイズの外国人向けマウスが扱いにくいと感じる人に特に良い。日本人に合いやすく、手の小さな女性でも持ちやすい。左右対称形で利き手と逆側のサイドボタンの出っ張りをなくすことができるので、右利きでも左利きでも違和感なく扱える。そのため、付属品として穴をふさぐカスタムパーツがついている。小さいのでつまみ持ち、かぶせ持ちどちらでもいける。僕はかぶせ持ちなのでそのレビューを述べていく。マウスの両端(サイドボタン付近)がへこんでいる形状で、このへこみがマウスの小ささを演出する形となっている。持った感じはやや地面に這いつくばる感じというか、指がマウスパッドを擦れていく感覚がある。マウスパッドによっては指がこすれることによってブレーキがかかり、突っかかりを感じるかもしれない。これは持ち方にもよるとは思うが。僕は浮かせやすい形状の方が使いやすい、と感じるのでやや違和感はあるものの、形としてはけっこう好きだ。

バッテリー(電池)
バッテリーは公称60時間となっている。ぶっ続けで使い回しても2日半は使える計算で、ふつうの人ならばそこまで使わないので、4日くらいは持つのではなかろうか。充電は付属のケーブルによる有線接続だ。充電しながら使えるため、今のところそこまで気になってはいない。ドライバ上であとどれだけ使えるのか確認できるのもいい。ただ、バッテリー内蔵ということは経年劣化によってどんどん使える時間が短くなっていくことが予想される。1年~2年と使っていくならば中身を分解して交換することも視野に入れねばなるまい。これはマザーボードにもよるのだが、初期設定だとパソコンの電源を切ってもマウスの電源が切れないのでずっと光りつづけ、無駄に電力を食ってしまう。マザーボード側でUSBの電源供給をオフにすれば解決するのだが、BIOSをいじる必要があるため、やや難易度が高くなっている。寝る時にマウスの電源を切っておかないと次使う時にけっこう残量が減っているのが残念。これはパソコンの環境にもよると思われる。ちなみに僕はASUSのマザーボード。

表面加工
表面はマット加工になっている。これは一般的なゲーミングマウスと同じだが、使えば使うほど上質でバランスのいい表面加工だと分かる。外側はまんまプラスチックだが、触るとややざらつきがある。手汗をかくとぴったりとくっつき、ホールド感はきちんとある。一方で汗をかかないとツルツルしているので触りはじめはややホールド感にかける。

裏面のボタンとソール
裏面には電源ボタンとDPI変更ボタンの2つがある。電源ボタンは上下スライド式で上がオン、下がオフとなっている。DPI変更ボタンは一般的なプッシュ式だ。ソールの滑りはそれなり。ややハイセンシ向けの止まり重視に感じる。ローセンシの人はもっと滑るものに変更した方がいいかもしれない。ソールの構成は上側に大サイズが一枚、下に小サイズが三枚、中央のセンサー周りにぐるっと一枚の計5枚と多いので、比較的止まりやすい。

付属品
付属品は豪華だ。有線の充電ケーブル、無線を受信する四角いUSB機器、左利きにも対応したサイドボタンなど至れり尽くせりだ。さすがはロジクールのフラグシップワイヤレスゲーミングマウスと言える。

実写画像

リフトオフディスタンス検証

リフトオフディスタンスとは、マウスを持ち上げた時にセンサーが反応しなくなる高さのこと。布製とプラスチック製のマウスパッドを用意して、0.1mmのコピー用紙を重ねていき、リフトオフディスタンスを検証した。結論をいうと素晴らしい出来だ。これまで僕が使ってきたマウスの中で一番短く、かつ安定している。布系マウスパッドで1mm以下、そして長くなりがちなプラスチックのマウスパッドでも1mm以下だ。短ければ短いほど使いやすさが上がるだけにこれはユーザーにとって大きいだろう。ただし、他のマウスに比べると短すぎるので慣れるのには時間がかかる。

布製マウスパッド
SteelSeries QCK:0.9mm
Artisan 疾風 甲:0.9mm
Artisan 零:1.0mm
Xtrfy GP4:0.9mm
Roccat Dyad:1.0mm

プラスチック製マウスパッド
Logicool G440t:1.0mm

重量と直線補正

実際に重量を計測すると、81gであった。ケーブルがないのも相まって他のマウスよりも軽く感じるものの、バッテリーのせいかマウス後方がやや重く感じる。また、ペイントで文字を書いて、直線補正を調べた。ロジクールが完全ゼロをうたっている通り、直線補正は感じられなかった。

センサー性能のチェック

MouseTester 1.2を使って、センサー性能をチェック。思いっきり早く腕を振って円を5回描き、2.5秒の間にどんな動きをするのか調べた。すると無線の状態でポーリングレートが1000Hzのときは露骨なマウスポインタ飛びが発生。これは有線の時や500Hzに落としたときは発生しない。ただ、実際に1000Hzでゲームをプレイしてもポインタ飛びは感じなかった。多くのプロゲーマーが使っていて、誰も気づかないとなるとおかしいし、ロジクールはこの問題を否定していることから5年以上アップデートしていないMouseTester 1.2が最新のセンサーについていけてないと考えるのが妥当だろう。ただ、人間に知覚できないレベルでおかしいという場合も考えられるため、無線で使う場合は500Hzの方が安心といえばそうかもしれない。この問題を除けば、どのDPIでもトップクラスの安定性を誇る超優秀なセンサーだ。思いっきり早く振っているのに全然ぶれてない。

有線 1000Hz↓

無線 1000Hz↓

無線 500Hz↓

・800DPI:有線 / 無線 500Hz / 無線 1000Hz
・1600DPI:有線 / 無線 500Hz / 無線 1000Hz
・3200DPI:有線 / 無線 500Hz / 無線 1000Hz
・16000DPI:有線 / 無線 500Hz / 無線 1000Hz

分解して中身を確認

マウスを分解して、中身を調べた。僕はこれまで色んなマウスを分解してきたが、中身がかなり複雑で分解難易度が一番高かったので、初心者の人にはおすすめできない。ネジの数が多すぎる、ネジが中身の強力な磁石に引き寄せられて失敗すると最初から分解しなおし、特殊な構造でどこをどう外せばいいのか分からないなど。ただ、2年以上使用した人は、バッテリー交換のために分解するのはありだと思う。それだけなら簡単なので。

メインボタンスイッチはオムロン製「D2FC-F-K(C)」、サイドボタンスイッチは耐久性能不明のオムロン製、ホイールエンコーダーは24回刻みのTTC製、マイクロプロセッサはNordic Semiconductor製の「N52840 Q1AAD0 1948ED」。バッテリーは240mAhだった。

海外のコアな層は不要な部品を削って80gを60gにするという魔改造を行っている人もいた。穴をあけたりカッターで切ったりしてその軽さを実現していたわけだが、素人でも頑張れば復元可能な範囲で10gほどは削れそうとは思った。ただ、このマウス自体が高価なので、あまりいじらない方が後々フリーマーケットで売る等ができにくくなるので微妙かもしれない。

専用ソフトウェア

ロジクールGの汎用ソフトウェアである「G HUB」に対応。感度、レポートレート、マクロ、ボタン変更、LED設定など一通りのことはできる。わかりやすくて使いやすい。

総合評価(5段階)

ワイヤレス:☆☆☆☆☆
バッテリー:☆☆☆☆☆
ドライバ::☆☆☆☆☆
付属品:::☆☆☆☆☆
表面加工::☆☆☆☆
センサー::☆☆☆☆
クリック感:☆☆☆☆
大きさと形:☆☆☆☆
ホイール::☆☆☆
ソール:::☆☆☆

個人的に気になる点
ここまでベタ褒めしてきたけれども、この「Logicool G PRO Wireless」が乗り換え対象、つまり僕のメインマウスになるかというと、残念ながらならなかった。僕は今までゲーミングマウスを20個以上使ってきたが、メインマウスとなったのはDreamMachines DM1 FPSというSteelseries Senseiのクローンモデルだ。すごくいい所まではいったのだけれども、この使い慣れたマウスの牙城を崩すまでには至らなかった。理由はひとつで、その形状だ。ゲーミングマウスというのは何百種類もあるけれども、つまるところは自分の手に合う形状なのか、ということに尽きると思うのだ。もう僕の手やマウスの動かし方はSteelseries Senseiシリーズを扱う時に最大パフォーマンスを発揮するような動かし方になってしまっている。これが長年染みついてしまった癖でなかなか矯正できない。僕にとってG PRO Wirelessは横幅が足りないように感じてしまう。あとは、マウスの後方が重いせいでやや重く感じるのもある。ただ、多くの人にとってこのマウスが最適解に近いことは分かる。僕にとってもSteelseries Senseiシリーズがなければかなり上位に食い込んでくる出来だった。総合的な評価は間違いなくトップクラスだ。

総評

総括するとLogicool G PRO Wirelessは小型かつ軽量で総合力ナンバーワンの無線ゲーミングマウスと言える。FPSにかぎらず、PCゲーマーなら一度は使ってほしいマウスになっているが、一番の問題は価格だろう。お年玉やボーナスなど懐に余裕のあるときに一考してみてほしい。

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